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「サッカー界における顧客の創造 – 金森喜久男 」もしかしたらJリーグプロサッカークラブの社長がドラッカーの『マネジメント』を読んでたから

2014年のガンバ大阪が優勝してしまうのかもしれません。などというと、さいたま、茨城、九州、神奈川各方面から、ちょっと待てやゴルァ!! みたいになりそうですけどね。ただ、Jリーグについて、それなりに興味を持ってる人なら、読んで損をしない本を家族が教えてくれまして。

ガンバ大阪の元社長がいろいろぶっちゃけて書いてる面白い本です。

サッカー界における顧客の創造

サッカー界における顧客の創造

こちらなのですが、普通に、マネジメントの実践例として読むのも面白いですし、Jクラブの四苦八苦とクラブ運営のおもてうらみたいな側面としても面白いです。良書です。

Jリーグに限らずサッカークラブは面白い特徴がいくつもあって、わかりやすいところでは、強くなるのはじっくりだけど、転げ落ちるのはあっという間というのがあり、とくに監督とフロントや社長の人選を間違えると、本当にあっという間に転落します。凍傷にかかったように、自覚症状や感覚がないのにあっというまに組織や器官がダメになる感じです。私、都内在住の道民ですけど、他意はありません。ありませんよ。ありませんが、しっかりと土台を整えて強くなるのと、助っ人選手があたって強くなるのとは、全然違います。
しっかり耕した畑と、焼畑アンド化学肥料くらい違います。そして、畑耕すのにはそれなりにコストも時間もかかります。そのくせ監督やフロントの人選や運営を間違うと即座に畑が焼け野原あるいは凍土になります。こわいです。いくつか目の当たりにしたのでこわいです。最近、なんだかんだでうまくやってるところ、育成の成果みたいなところはありますよね。
そういう実感は、それなりに Jを見てれば、当事者あるいは他山の石として、わかりやすいところでは、札幌、千葉、浦和、G大阪、あたりのやらかし例はずっとケーススタディとして語られそうです。一方で、育成がうまくいったあたりの躍進などは最近は顕著ですね。他にもいろいろ大なり小なりいろいろありますけど、いろいろ団子状態の Jリーグではこのあたりはかえってはっきりかもしれませんね。

さて、こちらの本なのですけど、元々松下で活躍されていた金森氏がガンバ大阪の社長になってから、マネジメントをどう行ったか、うまくいったこと、失敗だったこと。失敗をもとに工夫したことが、かなり具体例とともに書かれていて興味深く読みました。ここまで書いて大丈夫なの...みたいに思うくらい、スポンサーとのやりとりの一例や、クラブ運営や、会場運営の実情を書かれていて、それだけでも面白いですし、良いことも悪いことも相当はっきり書かれています。普通にナイキとデサントとのやりとりや、ポルシェとのやりとり。セブンイレブンとのやりとりなど生々しく描かれているのはビジネス面、人情面、その他から楽しく読みました。これは、個人の感想ですけど、サッカーだとナイキよりはアンブロやアディダスの方が良いですよね。個人の感想ですけど。

でてくる選手の名前もスポンサー企業の話題も具体的で実感を持って読めるので楽しいのですが、悪いことについても具体的にはっきり書かれていて、意識だけ高い系のマネジメント本と完全に一線を画していて、そこも面白かったです。仮想ででっち上げたような問題ではなくて、万博のスタジアムがいろいろ問題だと考えていることや、聖地と呼ばれるような場所の力の話、春秋制秋春制の問題などなど本当にガチの本です。

サッカーの側面からもガチの本ですが、マネジメントやビジネスの側面から見てもガチの本で、とくにかなり広い意味で「失敗から学ぶ」とか「陥ってしまうこと」という観点においては、ちょっと心に留めておきたいことがたくさんのっています。そちらの観点からも面白いです。

Jリーグに少しでも興味があり色んなことを知っておきたい、あるいは、仕事やマネジメントについて視座を増やしたいという観点で読むのも良いです。やったことある人の強みみたいなのがにじみ出てるんですよね。

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買うなら、先日の角川祭りのときがチャンスだったような気はします。西野監督にまつわるエトセトラがガンバ大阪で長期政権だったこともあり、金森氏の著書中でよく書かれているのですが、その中の引用で登場します。いろいろあるんだなと思いますが、選手側の一視点があると、複合的に楽しいと思います。

一応。本件については、あれですね。もしドラですますか、本当にドラッカーのマネジメントを読んだか、あるいは読んだことあるかで、逆に踏み絵みたいになってて、怖い世の中だ...みたいなところありますね。あわせて読みたい傍観者の時代みたいな。

では、良い人生を。