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神の子どもたちはみな踊るも読んだ タイランドと蜂蜜パイが好みです。

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

神の子どもたちはみな踊る (新潮文庫)

実はこの本は、Portishead の暗い曲のように、一件、絶望的だけど、じつは希望の本だと思ったりしています。

あ、あと、私は神の子ではないので、踊るよりも眠るをとります。

それはさておき、震災と前後の人生についての、いくつかの物語が収録されていて、生きる事は死ぬ事と見つけたり、もしくは始まりの終わりは、終わりの始まり的な、ちょいと重い短編が6編、交錯する人生とともに描かれます。ロッペンが、インテル相手に活躍しても私は知りませんし、サッカーの神の子たちは、みな踊りますが、それはこれとは関係があまりないですが、終わりと始まりを意識している事については、たまたまサッカー選手は心得ているところがあるかもしれません。一度の重さのようなものというか。

私は、比較的のほほんと、そこそこ平穏には生きて来て、あ、死ぬかも、と思った事は、幸いにしてなく、一番怖かったのはスカイダイビングと富士急...orz。あ、大けがするかもと思ったのは自転車でふっとんだ1回とひっくりかえった1回、そして、自転車で車に接触した1回程度。
なので、良く無い意味で地面がひっくり返るような体験は、今までのところ幸いにしてありません。
それから、対人関係もまましんどいことはあったけどw、これまたありがたいことに家族ともめたこともそんなにはなくて、かなり幸せな人生だと私は考えています。いい意味で体中が震える出来事は少なくなるようなことを斉藤和義は歌ったけれども、私はそうではないと思うところもあります。それよりはね、昨日よりは今日、今日よりも明日とか、1日1cm、1年で365cm、5年で18m25 って方に今は思いが至ります。

本当に地面がひっくり返るような出来事を目の当たりにした人々の物語のリアリティ

まだ、長編を読んでないくせにえらそうなことを言うのもちょっとあれだし、村上春樹2作目が私にはこれだったのだけれど、そこにひょっと落ちて来た蜂蜜パイや、他の自身に連なる地震にまつわる短編集が、それぞれ、重く、いろいろな生活や人生の暗いところに一度はスポットライトを。そして、その裏返しの希望の固まりのようなこの本でした。中村一義が歌うところの、ただ僕らは絶望の望を信じるような。Steve Jobs が言っていた、今日が人生最後の日だとしたら...のように。

短編集としては出来がいいのは「象の消滅」のほう。絶対。例示は理解の試金石という意味で、たぶん、象の消滅を読んでだめだったら、村上春樹作品を読んでもだめだと思う。けど、それを踏まえた上でこういうほの暗いけど、暗いからこそ明るい方にスポットがあたるような作品はとても好みです。

あと、それから村上春樹という作家については売れたけど、超天才*1というのではなくて、むしろ人間代表のすごさを感じさせる人*2な気がしていたりして居ます。

*1:大島弓子秋月りす中島みゆき宮部みゆき、筒井とかは超天才だと思う。私の偏見w

*2:村上春樹北村薫、などなど