食のスゴ本オフで頂いた「新しい天体」を読んだよ
- 作者: 開高健
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 文庫
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開高健といえば、夏の闇を賞賛する通の方が多いのですが、私はやっぱり輝ける闇 (新潮文庫)とベトナム戦記 (朝日文庫)の方が好きです。いろんな意味で。
それで、新しい天体なんですけど、ある意味で上記の輝ける闇とベトナム戦記のように、開高健の得意技。フィクションだけどノンフィクションで、ノンフィクションだけどフィクションみたいな作品で、本当にありそうでなさそうな架空の役人*1が、なさそうでありそうな各地のおいしい食べ物とその体験をピンからキリまでまさに味わい尽くす作品。
人は感動すると、特にシンプルなひとほど、「おあ!!」とか「すっげー!!」とか「なまらだ!!」みたいになんかそういうことしか言えなくなってしまうところがあります。感動をありがとうとか嘘かネタです。
で、食に関しても同様で、やはり、どうしても、「...うまい」としか言えなくなってしまうようなことがままある。懐かしの料理の鉄人なんかでも、審査員がなんかさんざん能書き語ってうんちくたれておいしゅうございました言ってるときは、きっとたいしたことなくて、食べたらなんかにやけながら、無言で食べちゃって、そのあとやっぱりニヤニヤしながらおいしいですね。みたいなのが本当においしい逸品だったりするのです。
そこで、作家にとっての永遠のテーマ。この「...うまい」としか言えないような味の問題をそれでもどうするか...というところに、かなり真っ向から取り組んでいる作品で、いろいろな味と食べたときの表現がとても面白く、さすが開高健で、さすがのDainさんなのでした。
それから、この本で面白いのは、各地のうまいものを食べにいくのに、福井やら北海道やら行くのですが、それらがまた面白いです。それで、北海道のところは道民からみても、この北海道の章はとても面白いです。
ちなみに作中ででてくるキンキンとかメンメンとか言われる魚は、キンキとかキチジとか言う魚で焼く話が出てきますが、本当はしょっぱめの濃い煮汁で煮付けると、うまいんですよね。アテにもおかずにもなります。とくに、北海道のばあちゃんとかはこういう濃いめの魚を取り扱うのがとてもうまかったりしますね。
と、大変においしい一冊なのでした。最後のおとしまえがちょっとね、アレ...だけど、そこは読んでのお楽しみということで。
おまけ的な孤独のグルメ
ちなみに、そのときにもう一冊頂いた、
- 作者: 久住昌之,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2000/02/01
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*1:ときどき我慢しきれず自分が登場したりするところがまた微笑ましい