愉快な数学的読み物 数学的思考の技術 を読んだよ
- 作者: 小島寛之
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2011/02/08
- メディア: 新書
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404 Blog Not Found:数学的=普通 - 書評 - 数学的思考の技術
弾さんの書評を読んで、図書館で借りて来てくれたのを読んでました。目次も上記にあるので、是非見て頂ければ。
それから、ご本人のエントリもありました。
数学的思考の技術 - hiroyukikojimaの日記
今回の本で、ぼくがチャレンジしたのは、「数式を出さずに、どこまで数理的な内容を正確に伝えることができるか」、そういうことだ。
-- 数学的思考の技術 - hiroyukikojimaの日記
ご本人が書かれている通りで、「数学的思考」ってところが、何よりこの本の肝要なところで、ある意味で本当に「急がば回れ」してる書き方でもあるんですよね。数学ガールも「急がば回れ」な本だけど、これも逆向きに回って急いでるような、そういう不思議な読後感。
学生時代にすごい出来る先輩が居て、ゲーム理論みたいな考え方ってべつにパレート最適とかを探すのだけが目的じゃなくて、ある現象のモデル化と、その説明をうまく取り扱ったり出来ることにあるんだよって、教えてもらったんだけど、そういう考え方に近いんですよね。この本の説明。
そいで、ゲーム理論とかだと、それなりに数値や数式を使った方がわかりやすいんだけど、あえてそれも避けて数式とかが出るだけで「うっ…」となってしまう人のために書かれた本で、丁寧な本だなと思いました。数学ガールもある意味で、数式とかが出るだけで「うっ…」となってしまう人のために書かれた本ではあるんだけど、取り扱うドメインと方法が真逆でそういう意味では面白かったです。
こう、説明するための努力や方法として、こういうアイデアを使うのって本当に素晴らしいし、難しいことを面白くわかりやすく伝える技術をこそ評価すべきで、わかりにくい説明をした方がエラいような風潮って、日本の有数なだめなところのひとつだよね。
そんなことより、第3部の第2章をいちばん書きたかったんじゃないかという…w
それで、第1部とか第2部とか、いろんな現象をわかりやすく数学的に切ってみようって感じなんですけど、
第3部 「物語」について、数学的思考をしよう
(…中略...)
第2章 村上春樹のトポロジー--「あちら」と「こちら」のつなぎ方
とかあるんですよ。
それで、1部2部とはちがう感じで第3部がノリノリでw、その事実自体がちょっと面白いという点で、この本まで物語の世界につっこんでしまったとかが少し愉快です。
この異彩の第3部が、一部の方にはそれなりにおもしろいし、村上春樹の文章がどうして独特なのかを「数学的思考」で解説してて、それがまた楽しいです。
個人的には、ウィトゲンシュタインの論理哲学論考にでてくる 「P かつ Not P」 とか、 「 P または Not P」 についての印象と同様のイメージを扱うのが、この方々の巧みなところなのかなとかは思ったりしています。
何事もあきらめたらそこで試合終了ですよってための、考え方のための一冊です。そういえば、安西先生もリバウンドの効果について、「数学的」に花道に説明してたね。