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トニー滝谷(の映画)

見ました。
Amazon のレビューもかなり好評ですが、あと、まあ、やっぱり、キャストが気になりますよね。イッセー尾形宮沢りえ、ナレーションに西島秀俊、音楽が坂本龍一で、監督・脚本が市川準という。んで、原作は村上春樹なわけでして...。夢のキャストw 5-0 みたいな感じです。

映画の感想に入る前に、まず、うだうだと。

村上春樹については、個人の感想ですけど

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

新たに出る長編が話題ですが、私は彼の作品については圧倒的に短編のほうが好きですし、素晴らしいと思います。それはひとつ選べっていわれたら、ベタっちゃベタですけど、象の消滅なんかに収録のパン屋再襲撃が超絶名作だと思います。なんでしょう、王道とかスタンダードというのはある程度ベタな評になるわけです。
いやしかし、パン屋再襲撃、あれ、なんででしょうね、素晴らしく面白いですよね。ごく私的にはパルプフィクションを思い出します。それとなく。

ついでに書いておくと長編は1Q84は結構面白いと思ったけど、海辺のフカフカ...星野ちゃんw 他、読んでません。すみません。

それはさておき、トニー滝谷について まず本の方から

レキシントンの幽霊とか、逆輸入版のめくらやなぎと眠る女あたりに収録されています。それと全集ですね。まあ図書館で借りられると思います。

村上春樹の短編集はいずれも名作だと思います。本当に素晴らしいと思います。なんか、序曲とか、組曲とか、振ると最高なんだけど、シンフォニー振るとちょっとあれってなる指揮者みたいに思うことあります。個人の感想ですけど。

それはさておき、つづいて映画の方

この映画ちょっと不思議な映画で、表現とか、技法とかとしては、かなり実験的な作風になっています。映画というよりも、ローテーションする舞台とか、漫画のコマワリを見ながら中身が動くとか、どこか、そういう演出がなされています。
もうひとつ見ていて感じるのは、この物語は、トニー滝谷って名前どうしてそうなったみたいなところから、つまりトニー滝谷のお父さんの挿話から始まるわけで、物語の中でたんたんとした時の流れと生活の変化みたいなの読んでいていろいろ感じるわけですが、その表現が、あわせて、その技法で表現されてるのかななどと思いました。左から右に、切れ目がありながらすすむし。

あとはですね、映画だけで見ても、イッセー尾形宮沢りえみたいな夢のキャストみたいなところあるので、そんなにわるくないです。細いけど激やせっぽく見えない頃のちょうどきれいでかわいい宮沢りえが、服を着まくってるみたいなところがあり、あとイッセー尾形は舞台の方は休業中ですけど、あんまり舞台とか見たいなと思わない私が*1ほとんど唯一見てみたかった舞台が、イッセー尾形の独り舞台だったわけで、やっぱり夢のキャストなんですよ、これは。

ですけど、どこか、原作読んでることが前提みたいになってるところがあります。なんだか、台詞まわしがそうなっていますしね。映画だけみる人は割となんじゃこりゃってなるレベルです。台詞のところとかとくに。「彼女は言った。」と、彼女に言わせる演出ですので。

それでまあ、村上春樹作品と言えば、実にいろいろありそうなわけですけど、いいところを映画化しようとして、しかも作品としてもきちんとした出来になってるあたり、キャストパワー!! みたいなところはありますけど、それでもやっぱり、ああいう作風を映画化するとして、この完成度はさすがに素晴らしいと思いました。

長大スペクタクル!! みたいのだけが映画ではなくて、むしろ日本においては、どこか風変わりなところもあるかもしれないけれど、とある日常とかとある生活みたいなところにフォーカスした映画のほうがきっと良く作れるのではないかなとはいつも思います。

では、よい宮沢りえで、良い人生を。

関連

象の消滅とめくらやなぎと眠る女

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991

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めくらやなぎと眠る女

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この逆輸入エディション2冊は、買っても後悔しないレベルだと思います。お得に攻めるなら、レキシントンの幽霊だと思うところありますけれど。

宮沢りえ

Santa Fe 宮沢りえ

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正直なところ、服を着まくってる宮沢りえさんも素敵ですが、服を着てない宮沢りえさんにおかれましても..ゲフンゲフン

彼女は言った

彼女は言った

彼女は言った

せっちゃん、せっちゃん。せっちゃんとかどこか村上春樹作品を彷彿させるところがあるのは、やれやれです。みんな射精してればいいと思います。

*1: 舞台だったらある程度映画の方がみたいと思う。でも落語もライブもコンサートも好きだな...変な子だなw私

マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団による、Keeping Score をいくつか拝見して、いずれも高レベルですが、ショスタコーヴィチの5番のが特に素晴らしいかな、などと。

どういう楽団かとか、経緯については、ポストモダンテクノロジックエモーショナルシンフォニー あるいはアメリカののだめのリアル千秋先輩のようなお話 / オーケストラは未来をつくる マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦( 潮博恵 著 ) - くるえるはてなくしょん をご参照いただければと。

それで、自重しないで、Keeping Score の Blu-ray のを既発売分を全部買ったわけです、マーラーベルリオーズショスタコーヴィチ、あと アイヴズ ですね。

そのなかで、ショスタコーヴィチのがコンサートの方が特に素晴らしいと思ったわけです。

アメリカのオーケストラ

さて、アメリカのオーケストラって、ニューヨーク、フィラデルフィアクリーヴランド、ボストン、シカゴあたりが一応ビッグ5みたいな感じでよく話題になるでしょうか。
アメリカのオケってざっくりですけど、

  • 割と金管が強め
  • どちらかというと、派手目というかズバッとした演奏をする
  • 伝統よりも、モダンさ、かっこよさとか、演出とかに寛容なイメージで、はまるとはまる

みたいな、印象というか、偏見かなw。そういうのありますよね。

で、サンフランスシコは新興勢力みたいなところがあると思います。地域的にものりのりな場所ではありますよね。

サンフランスシコシンフォニー(SFS) と マイケル・ティルソン・トーマス(MTT) については。

きっかけは前のエントリに書いたわけですけど、ここ数年、かなり注目の取り組みをつづけているとのことで。

それで、サンフランスシコシンフォニー(SFS)については、月並みな表現ですが、モダンなとか、新鮮なとか、あとは、カラッとかっこいい演奏をする印象があります。のだめで、白王子と黒王子... みたいな件がありましたが、それでいけば白王子っぽいというか。ただ、華やかというと、それも少しちがうかなとか思うんですけどね。でも、かっこいい系の演奏をする楽団だと思います。あと、各パートのリーダーがそれぞれしっかりしてる感。

次にマイケル・ティルソン・トーマス(MTT)。彼は、それこそ映画俳優のようにかっこいいですし、若く見えますが、それよりはかなりキャリアがあるんですよね。
それで、指揮とかアナリーゼとか演出みたいなところって、普通に真摯に取り組んだら、別に奇をてらったわけじゃないのに普通に今までとちょっと違う風になったけど、どこか近代的で、ちょっとかっこいい方に倒れてて、普通になんかやたら素晴らしいみたいになる感じのタイプの指揮者がいらしゃって、トーマスさんはこちらのタイプかなと思います。他だと、誰だろ、ラトルとか、ブーレーズとか、古くはバーンスタインとかカルロスクライバーとかかしら? いろいろあると思いますが。まあ、個人の感想ですが。あと、巨匠型とか、カリスマ型とか、バランス型とか、いろいろありますけど、みんなちがってみんないいって感じでいろいろ楽しめるのがいちばん幸せだとは思います。偏愛人間の私が言う名ですけど。

はい、それで、このチームで特に得意なのが、全曲高音質録音にとりくんだマーラーベルリオーズ、あとアメリカもの、それで少し珍しいのですけど、割と新しいロシアものが得意なんですよね。

オーケストラは未来をつくる マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦

オーケストラは未来をつくる マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団の挑戦

なんで、ロシアもの...ってところは、こちらに詳しいので、興味があれば。この本、かなり面白くてためになるところがある本なので、かなりおすすめです。

で、私は実家がロシアの方なので... というのが、関係あるかないか、ちょっとわかりませんが、他もよいのですけど、特にショスタコーヴィチのが正直少し思い掛けずなところあるのですけど、よい演奏だなと思ったわけです。

Keeping Score の ショスタコーヴィチ5番

Keeping Score: Symphony No 5 [Blu-ray] [Import]

Keeping Score: Symphony No 5 [Blu-ray] [Import]

こちら、アメリカから買った方が少し安いかもです。まあ、最近は為替相場激しいのでいろいろあるかもですけれど。

MTTとSFSの取り組んでいる、Keeping Score は、動画コンテンツで娯楽と教養と芸術を同時に満たすかなり高水準なコンテンツで、かなり面白いですし、Blu-ray の生きる道って、日本のアニメと世界のクラシック、あとは資料的なコンテンツくらいだと思います。おそらく、動画も音楽とある程度同じことがおこって、高音質よりも iPod みたいな感じで、高画質円盤よりもお気軽にみたいになると思うところはあります。だってさ、LDとかみかけないわけで。SACDとかも対して売れないわけで。
ただ、そんななかで、愛好家がいて、一定量は数がでる、ハイクオリティなコンテンツとしてだけは、Blu-ray が幅を利かせそうなところはあるかなと思います。うちにあるのも、少しの素晴らしい映画とあと、クラシック映像ばっかり、Blu-ray であります。普通の映画とかは、なんなら、Hulu でもなんでもいいし、iPodiPhoneandroid で見てもいいと思うので、まあ、Blu-ray もニッチですね。

そんな Blu-ray 業界に、まさかの本寸法というか、まあ、ひらたくいうとNHKとかでやってそうな、音楽的な知識教養もついて、演奏も見れて... みたいのを、自重しないでやってやったみたいなシリーズが、この Keeping Score のシリーズなんですね。で、どれも良いんですけど、ショスタコーヴィチの5番で、通称はタコ5w ですね、これがなんかいいなーと思いました。BBC Proms の映像ですが、これはいい演奏だなーと。

タコ5においては、

ちょっと時代がかかりますが、鬼神のような来日公演の素晴らしい記録があり、私もこれ大好きですし、ムラヴィンスキー/LPOとか、実家がおそロシアな方なこともあって、恐らく最高に好きな組み合わせです。
そんなわけで、ハードル高いんですけど、それでも、MTT/SFS のタコ5のこれ、かなり良いなーと思ったんですよ。実際、系統としてはちょっと異なる演奏ですけど、これはかっこよくて良いなーと思いました。やっぱりどこか、シャープでカラッとすっきりな演奏なんですけど、不思議な味わいと言うか後味というか、そういうのがあります。

だもんで、誰にでもはすすめませんが、興味があれば。

まとめ

いやぁ、音楽って本当に素晴らしいですね。それでは、さいならさいならさいなら。

では、よい教養で、良い人生を。

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実際イケメンというのがはばかられる感じのハンサムなインテリジェンス。

Keeping Score: Rite of Spring [DVD] [Import]

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天は2,3物を与えたり...。ときどきピアノの弾き振りもするとか。

ミーハーかもしれないですけど、かっこいいからとかが理由で入るのって、けっこう本質的だと思いますけどね。