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Jobs の伝記とその装丁で大盛り上がりですが、まったく空気をよまないで、ロザリンドフランクリンの伝記の話

ダークレディと呼ばれて 二重らせん発見とロザリンド・フランクリンの真実

ダークレディと呼ばれて 二重らせん発見とロザリンド・フランクリンの真実

おい、お前ら、簡単に二重螺旋構造とか言うんですけど、わかってますか? - くるえるはてなくしょん
昔、ちらっとだけ書いた話の続き…というか、ちゃんと読み直したら、これがなかなか素晴らしい本でした。夜のお供でした。

どうも先週末からですね…

  1. こどもが一緒にねんねこーねんねーこわーとか言ってきて添い寝
  2. ともに寝落ち
  3. 深夜ないしは早朝のへんな時間に無駄に寝ぼけつつ覚醒

とか、そんな繰り返しで、海外に行ってないのに時差ぼけみたいになっていて、ここ2日は昨夜から今朝に至っては、20:30に寝て、23:30くらいにおきて、もう一度寝ようとしてなかなかうまくいかず、それで、なんか気づいたら日が出ても眠くないとかだったのです。

それで、しょうがないから、冒頭の本が夜のお供でした。で、読み応えがあって、かえって症状悪化したのかもしれないです。以前、手に取った時は、例の件の確執真っ盛りのところだけ読んでて、今度読もう…と積み残してたのが、やっと解消されてすっきりしました。

科学の世界のジャッキー・ロビンソンのように

全ての答えは、42で、それは彼の背番号で全チームの永久欠番みたいな http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャッキー・ロビンソン がいるんです。似てないんだけど、その境遇がちょっと似てます。

ロザリンドも境遇としてはジャッキーよろしくマイノリティ、当時は珍しい女性でアカデミックな科学の研究、しかも物理系の研究に従事してて、待遇は必ずしもよかったとは言えないけれど、本当に輝かしい成果を残しています。ほんと、読んでて自分が恥ずかしくなるレベルです…。

さてロザリンドですが、やはり、有名なのはX線回折スペシャリストで、ワトソン・クリックのDNAの二重螺旋の構造を解明するきっかけになったX線回折写真の話でしょう。51番の写真*1とか、身内の報告会とかのやりとりが、ちょっとスキャンダラスな感じで伝わったとか、とにかく当時の研究チームの仲が最悪に悪かったとか、なんか割と期待しているほどは、アカデミックな世界とか大学とか研究室とかろくでもないんだぞーーーっw ていうのを先に知るにおいても、皮肉にも良書です。いつの時代もいろんな意味で大御所でヘンな人がたくさんいるんだなとかも面白いです。ワトソンとか、ほんと強烈でしかもぞろっぺいなとこあったんだろうな… とか。
意外と高校生とかが読むと良いかもしれませんね。あと大学1,2年生とかも読むとよいかも。

それで、DNAのX線回折写真にまつわるエピソードのところは、トピックがとにかく多いんですけど、そのあたりは割と読むのが辛いです、最高に仲が悪かったみたいで…。

その代わり、その前にフランスで炭素の研究をしていた頃の話題、それから、その後のタバコモザイクウイルスの研究をしていた頃の話題、あと、時を同じくしてその頃、アメリカに行った話題なんかが逆に生き生きしている感じが伝わって来て、そっちのほうがむしろ楽しいんです。
あとは、X線回折写真をとる技術がすごかったのは有名ですが、あわせてデータ解析や調査もしまくっていたりの話、あと、助成金の掛け合いなんかの話題ものってるしです。
なんとなく大学に入っちゃう前に、あとは入っちゃってからですね、携わってるテーマや研究が歴史的、あと金銭的*2に、色々どうなってるのか考えるのには本当によいと思います。

こういう本を読むと良く思うのですが、日本って科学史の扱いほんとうにかるいんですよね。ですが…、文化と歴史と科学史って単純に面白いことがたくさんあるし、つながりや背景を知る上でもいくつか知っておいた方がよいことありますよね。

高校の化学の先生とかスラムダンクの怖い時の安西先生みたいでめっちゃくちゃ怖かったんだけど、実にお世話になった先生のひとりで、ぶち切れながらだけどしおらしくヘンリー・モーズリーの話をしたときのこととか、やけに覚えてます。「もう、このことだけでも戦争反対だ...!!」みたいな…。科学史とかのことをちゃんと考えるようになったのはその頃で、それだけでもまああんまり友達いなかったし、いまもそんなにいないんだけど、高校行っててよかったのかもしれません。

で、ちょいと脱線しましたが、物理生物学まわりで、科学史上においての重要人物がたくさん出てくるし、強烈なトピックが多いので、「○○のDNA」とか軽卒に言っちゃう前に、この本1冊くらい読んだらよいですね…。
ヘビーな本なので読むの大変でしたが、歴史的にも科学的にも、そして伝記としてもいろいろドラマチックで、今との対比とか、境遇の対比とか考えさせられる所も多いです。

あと、人間ってすごいな…っと複合的に思わされる一冊でもあります。

*1: http://en.wikipedia.org/wiki/Photo_51

*2:バカに出来ないです..ほんとに