あったらしくるえるはてなくしょん

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村上春樹 シドニー! の道も半ばをすぎて、30km地点くらい アンザックブリッジを越えて、徳島からニューヨークそしておしまい。

シドニー!

シドニー!

読み終わった。

やっぱり、この人は構成が巧みで、丁寧なインタビュー。真摯なまえがきやあとがき、とかすばらしいですね。正直というか、率直というか、まっすぐ過ぎる途中の日誌は、ドラマチックなところはドラマチックそうでないところはそれなりに、ときどきおっさん(笑) みたいな感じでしたが、よくも悪くもね。

あとは、このひとは、陰になりがちなところに光をあてるのが巧みだと思いました。

それから、作品の構成では最初のところに戻るのに、フルクトさんいうところの「取り戻せない」というか、その感覚はこの本でもそうで、過ぎてしまった事はもうしょうがなくて、そのうえで色々ひきずって、生きて行く事を肯定するところが、この人のすごさなんだと思いました。

長編よりも、中編や短編、対象のあることを書いた方が、私は今のところ好みです。

いろいろな対象への著者の思いがぐるっとまわってきて、さらにいろんな視座のことを包含して、自分のところにすっと戻ってくるような文章は、私も書けたら良いなと思います。

それから、オリンピックとかワールドカップとかは機会があったら、現地で一度見てみた方が良いとは思います。私は、オリンピックはみたことないけど、あとがきで著者も書いていたように、現地で見た物とテレビで見た物がなんだか異なる物に見える感覚というのは、メディアリテラシーの上では重要な事のように思われるしね。

エクアドルから札幌にきたお兄さんや、なぜか私にいなり寿司をくれたイングランドにお住まいのサッカー好きのカップル、ドイツのバスやタクシーや電車やカフェですれ違ったときに少しだけ話した各国の人には、思い出すたびに感謝したりはしていて、そういう意味では良い本でした。

以下は30km地点までに書いた事です。

昨今のスポーツイベントは国家主義のようなものと、商業主義のようなものにまみれているのに、それでさらに、どこか啓示的というか宗教的なところがあって、あげくオリンピックは退屈だとか、プロのあるスポーツはオリンピックから切り離して、ギリシャでプロ以外のスポーツをやればいいとか、愉快な事を考える人だな...と思っております。私が誰かの事を愉快って言うのもちょっとおかしな話ですけれどね....。

「象の消滅」 短篇選集 1980-1991のまえがきや、それから、アンダ-グラウンドのときなんかと比べると、なんだかずいぶんひねている。 これは、オーストラリアのせいなのか、オリンピックのせいなのか気になる本ですね。村上春樹はひねくるはるきくしょんとかいうブログでもはじまればいいのに。よんでるこっちが、まったく、やれやれだ。ってなるところがあったりする(笑)逆に、オーストラリアの村上史観*1は今度はかろやかに面白かったりと、懐が深い本ですね。

そのひねくれっぷりと、逆にランナーや走る選手への敬意や分析や表現が好対照で、それがまた面白い。100m 400m 1万メートルにフルマラソン, トライアスロンと、楽しそうで羨ましい。走るのもランナーへの敬意もほんと、このひとは、ある意味でわかりやすいというか、奇をてらってるようでシンプルなところがあるひとだと思います。

ずっとみてると選手の違いがわかってくる。

思い出して来たのだけれど、このころはかなりのほほんと見ていたせいもあり、おなじ走るや泳ぐでも、選手の違いがわかる程度には見ていて、そんなときのことを思い出しました。いいフォームの走りや泳ぎ、それから考え方やスタイルなんかもあって、やっぱりギフトというか天賦の才能みたいなものにあふれた人と、積み重ねでそこまでたどり着いたような人とが居て、その対比とかはスポーツを見てる上で楽しい事ではありますね。

海外旅行に行くときの飛行機の中で読むのとかによさそうですね。すくなくとも、潜水艦の本よりはね。

*1:英国が父、アメリカが長男、オーストラリアが次男ってw