輝ける闇を読んだ。
先日、スゴ本ブログで、フィクションとノンフィクションがせめぎあう「戦争の悲しみ」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる ののエントリがあったのと、かねがね父が読んでおいた方がいいと話していたので、ここしかないと思い、本をどがどが読んでいました。ちょうど、ベトナムの方とのつきあいも少しあったので。今ここで「戦争の悲しみ」まで読むのはつらいので、そちらはまたの機会に...
読んだのは輝ける闇, ベトナム戦記, 夏の闇, そして サイゴンの十字架 と半ば一気に読んだ...。これらはまさしく id:Dain さんが書くところの
開高健の「ベトナム戦記」と「輝ける闇」を思い出す。前者はルポルタージュ形式の小説、後者は小説形式のルポルタージュに読める。
フィクションとノンフィクションがせめぎあう「戦争の悲しみ」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
これに、確かに同感だった。*1
少し前に、戦争とその傍らでの生活とが、確かに東南アジアにあった。それが、哀しいけどそれ現実だったのよね。というわけで、いくつか見てきた有名な写真や、その他作品を比較しても、開高健のこれらの本は、さすがにちょっと震える。想像力が入り込む余地があるからこそ戦慄を覚えるシーンがたくさんあった。 それは実際の戦場の場面以外にもたくさんある。居合わせた人だけがわかる、最前線のないのがゲリラ戦、むしろあらゆる場所が最前線の怖さとかをみると、穏やかな生活に感謝する。
ヴェトミン, ヴェトコン, フランス, アメリカ, そして、共産圏が絡む混沌、そして戦争の拡大再生産を、開高健のどこか客観的な視線と、匂い(というか、むしろ臭い)、それから、暑さと湿度が漂うねっとりとした感触が文章から伝わってくるのと同時に、そこにある戦争は小説だけど現実で、現実だけど小説で、その半ば浮ついた現実感のない不思議な、それでも哀しい現実が、恐らく実際に戦争に相対した者が覚える一番近い感覚なのだろうな...と。それで、その浮ついた感覚を表現しようとすると、最適な方法のひとつがこうなるのだろうなと感じた。確かにそこにある現実は、現実じゃなかったらいいなという想いと、伝えなきゃと思う意志が表現をそうさせるのかなと。
こんど、落ち着いたら、「戦争の悲しみ」も読んでみよう。
「戦争の悲しみ」は詳しくはこちらを。
フィクションとノンフィクションがせめぎあう「戦争の悲しみ」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる
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*1:夏の闇は文学的には面白いかもですが、はしょっても良いかもしれないかな...。