あったらしくるえるはてなくしょん

id:kskmeuk あったらしく

それは、おいしい水のように / マリア・ジョアン・ピリス 2014 リサイタルツアー

http://farm4.staticflickr.com/3767/13211738633_0456c8abb7_c.jpg
札幌の方へ飛んできました。雪でした。三月の水ならぬ雪。

さて、詳細はhttp://jp.yamaha.com/sp/products/musical-instruments/keyboards/pianist-lounge/info/2014mariajoaopires/にあるのですが、世界的なピアニストのひとり、マリア・ジョアン・ピリスさん*1が、来日しておりまして、折よく、本当にたまたまなのですが、ちょうど北海道に帰省する用事もあったので、Kitara の方で、拝見してきました。首都圏開催と比べると、札幌開催はずいぶんお得なチケット価格になっていて、宇宙の法則が規則正しいと思いました。ピリスさん、日本がかなりの日本好きとのことで、しばしば来日してくれるのは有り難いことですね。そして、何はともあれ、札幌開催してくれるとかは非常にありがたいことです。

来日はしばしば、しかし、ソロ・リサイタルは16年ぶり

演目や日程等、情報を探せなくて申し訳ないのですが、私が学生自分のときに、Kitara の小ホールで、一度、ピリスのリサイタルは見たことがあり、とても良かった思い出があり、今回も急遽だったのですけど、とても行きたかったのです。

以前、ひょんなことからポルトガルの方とお話することがあったのですが、
「ああ、ポルトガルといえば、かつてピリスのリサイタルを見たことがあります。」
「あら、それは素晴らしいし、ありがとう! 彼女のピアノはまさにクリスタルクリアーですよね。」
みたいなお話をしたことがあり、私もそう思います。

ピリスさんはこう、どっかんどっかんピアノを弾くというわけではなく、むしろリサリサ先生の身のこなしというか、淀みなく、澄んだきれいな演奏が第一印象ですぅっとやってきて、その後から、しみじみとじわじわと色々な想いが押し寄せてくるといつも思います。飲み口はきれいだけど、だからといって退屈せず、柔らかすぎるわけでもなく、むしろ後からミネラルを感じるような適度な硬さももっていて、とてもおいしい水を飲んでいるような気分になります。まさしく、心も潤うような。

Kitara 大正義すぎて誇らしい

あとは、ヤマハホールで行われた演奏とかもサロンのようで、とても良さそうだなと思いますけれど、ピリスさんの透明度の高い印象の演奏は Kitara にあっていると思うのですよね。

Kitara は北国にあるせいでもう少し好適な湿度に恵まれているし、とても良く鳴るというより、適度に響き、何よりきれいな音で良く聴こえる近代的なホールなんですね、あとホスピタリティが素晴らしいというか、設計に余裕あるし、お手洗いとか超絶充実してるし、休憩の飲み物も良心的すぎるだろみたいなお値段ですし、本当に素晴らしいです。
一方で、昔からある中島公園の真ん中に位置してて、これまた昔からある前進しか知らぬ南北線にのってさくっと行けて、周辺事情も含めて、実に完成度の高いホールなのですね。

バーンスタイン大先生のおかげの PMF なども大変にありがたいことです。今年の主席はマゼールさんだそうで。私も現地にいた頃はちょいちょい伺ってましたが、2007年のムーティさんが来たときの、運命の力の序曲が、PMFオーケストラの若さとムーティさんの指揮とがばっちり決まってて、大変に素晴らしかったのを覚えています。

一族で贔屓にしていたおでん屋さんのおばちゃんもクラシック好きで、
「あなた、サッポロはよくやってるわよ、キタラみたいな専用ホールなんか作ったの本当にすばらしいわ。なんでもつかえるホールは結局なんにもつかえないのよ。」
などと、おっしゃってましたが、完全に同意です。*2

しかも、首都圏価格より御安いと来ておりまして、もう否定するところが全くありませんでした。Kitara 大正義すぎて誇らしいです。強いて言えば、札幌はあれですね、不況だから仕方ないところありますが、もう少しお客さん入ってくれてもいいかな...とは思いました。そこだけが惜しいです。PMF とかはそれなりに入るんですけどね。ホールも良くて、結構がんばって企画もしてくれているので、もう少し、特に札幌在住の小金もってるひととか、Kitara に伺って欲しいです。私だって飛行機のっていったんだから!!(たまたま

リサイタルはまさしくレジェンドな出来事でした

そういわけで、ピリスさんに Kitara とか かなりばっちりな組み合わせで、何も心配することはありませんでした。また、この日はプログラムが良かったです。シューベルトは既にリリースがあるのですが、

シューベルト:即興曲集

シューベルト:即興曲集

シューベルト:ピアノ・ソナタ第16番&第21番[SHM-CD]

シューベルト:ピアノ・ソナタ第16番&第21番[SHM-CD]

いずれも素晴らしかったです。特に即興曲集が私は好きでした。他も全て良かったです。

というか、箱買いしましょう。

Maria Joao Pires: Complete Solo Recordings

Maria Joao Pires: Complete Solo Recordings

箱買いすべきです。

少し、ヘンな例えなのですが、レジェンドな演奏で、ドビュッシー前奏曲集はミケランジェリの名録音がありまして、

ドビュッシー:前奏曲集 第1巻、映像第1集、第2集

ドビュッシー:前奏曲集 第1巻、映像第1集、第2集

というのが大定番であるんですけど、BBC Legends のライブでの演奏の
ミケランジェリ・プレイズ・グリーグ & ドビュッシー

ミケランジェリ・プレイズ・グリーグ & ドビュッシー

こちらがさらに素晴らしいんですね。

これと同じことが起こっていて、録音もちろん素晴らしいのですけど、このライブは本当に素晴らしかったです。こういうライブ行ける人いいなぁ…みたいな演奏は、わりと近くにもあります。

では、よい演奏を耳にして、良い人生を。

同日の東京の朝は、
http://farm4.staticflickr.com/3828/13211893644_787ab46282_c.jpg
だったことを、考えると、日本もなかなか広いですね。

*1:最近はピレシュと、現地の発音に近い方が主流になりつつあるようですが

*2:あとは逆にリアリスト路線で札幌ドームつくったのも素晴らしかったですけどね。