労(働|道)的な意味で働きたくないでござるし、コンピュータに働かせたいでござる... / コンピュータが仕事を奪うを読んだ
- 作者: 新井紀子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2010/12/22
- メディア: 単行本
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この本、とてもよい内容の本ですが、ちょっと釣り気味のタイトルが逆にもったいないというか、みんなそんなに仕事が好きなのか...という思いに、私みたいなクズ人間はさせられちゃうところがあります…。この本のタイトルがこうなってしまったことって、バッチやマクロでこなしたら怒られるマインドと薄く地続きなのかもしれない。
さて、この本ですが、すでに弾さんが...404 Blog Not Found:職がなければ遊べばいいのに - 書評 - コンピュータが仕事を奪う
こんな名エントリにしているので、いまさら感がただよいまくりすぎるのですが、せっかくなので…。
目次
目次なのですが、Amazonの商品ページからなか見!検索でみるのが良さそうです。この目次、弾さんは章立てしか書いていないのですが、各節タイトルもすごくよいです。
子育て中の方と、IT関連の仕事をするマネージャ以上におすすめ
コンピュータ関連でとりあげられてるトピックはいずれも最近の話題で、しかも詳細ではなくて大きな概念の一番重要なところをわかりやすく、丁寧に書かれていて、しっかりしてて、なのに読みやすいという恐るべき本です。IT関連の仕事をしている会社のマネージャ以上の人間が、この本のことがわかってないとかは、クソ仕事のブラック企業なので、今すぐそんな仕事を辞めるべきですね。
それはさておき、あいうえおっと思うような事例をたくさんとりあげていてて、カスパロフさんのチェスの対戦、Amazonのメカニカルタルク*1、あとはチューリングテスト*2のように、人間と機械の境界について俯瞰するとか、あとは、機械の限界と可能性、人間の限界と可能性についてを様々な観点から語られているのもすばらしいです。
さらに、教育のところが本当にすごいです。
それから、終盤で、かなり教育についてのことに言及されていて、「考えないで出来る方が楽なことは、考えないでやるようになっちゃう」という観点から分析されて語られてる内容はとくに素晴らしいです。教育にまつわる話題は、私も子育てに関わる立場なので考えておくべきところが多いなと読みながら思いました。
特に 、5章の私たちは何を学ぶべきかに書かれている、
- pp.198 - 201 「脳を活性化しないドリル」
- pp.202 - 203 「コンピュータが思考の芽をつむ」
- pp.203 - 205 「算数が苦手になる理由」
このあたりの章はタイトルだけ読むとネガティブな印象なのですがそうではなくて、読むとはっとするところがあるとても濃い内容です。「算数が苦手になる理由」の小学校の話題と帰納的な問題解決だけを行うことによる弊害については、もっと読まれると良いと心から思います。
まとめ
とにかく、仕事をコンピュータにやらせるのって割と良い事だとは思うのです。仕事が奪われるよりも、コンピュータが個人をエンパワーするのがシリコンバレーの善みたいな考え方も有るし、プログラマやエンジニアなら、コンピュータに仕事をさせたり、コンピュータで仕事をしたり、遊んだりしながら、くそめんどくさいことやどうでもいいことはなるべく機械にやってもらうのがいいことで、人間はもっと楽しくすごしたり、本当に好きなことをしたりして過ごすと良いと思います。それこそ、好きなことを仕事にしたりしてね。
では、コンピュータに奪われないような本当に良い仕事と、かわいいお子様と、良い人生を。
…うちのこも、なんでスプーンをつかってたべるのかを、べちゃべちゃな手と口で考えてもらえるとうれしいんですけどねw