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偉人達が空気を読んだ歴史 - 大気の海 科学史としても偉人伝としてもスゴ本。

大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか

大気の海―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか

404 Blog Not Found:空気読め?これ読め! - 書評 - 大気の海 小飼弾さんも書いていますし、発売からして今更な感じはありますがね。

この本の冒頭のプロローグだけでも、是非一度手に取って読む価値はあると思う一冊なのです。

高度 30km から 跳ぶ

このプロローグのエピソードですが、Joseph Kittinger *1 の 高度30,000m からの Sky Diving の話からはじまるのですが、これは、私が大好きなBoards of Canada の PV で途中まで使われてる映像と同じものなのです。

ちなみに、一度だけですね、うっかりタンデムでスカイダイビングをしたことがありましたが、それでも確か、3,500m くらいからのものなので、それでもすごい体験だったのですが、その8倍くらいの高さとか意味がわかりません。正直。だって、半分宇宙で与圧服着てないと、体の水分沸騰して死ぬとか、意味がわかりませんものw 正直、3,500m くらいからの、ヘリコプターからのタンデムジャンプだって意味わからなかったのにね。

ただ、ジェットコースターとか苦手な人は一度やってみるといいとは思います。

複数の視点から「見える」イメージがすごい

弾さんも映像的ですごいという書評を書いているのですが、この本は本当に目に見えるようなのがすごいのと、取り扱ってる人物については、多方面で本当に幅が広いくて感心しますよ。

空気や大気圧の話題から、翻って、風や電波や電磁波やフロンガスの話題まで滑らかに続いているし、本書中で登場する人物も順番めちゃくちゃですけど、コロンブスにボイルにマルコーニにラボアジエ…と、それからタイタニック号にデュポン社などなど、偉人達の縦と横のつながりが科学史としても、偉人伝としても楽しく読めます。

こうとあるヒーローが大活躍ってだけじゃなくて、研究としても人々の活躍としても長い幅があって、その継続で、いろいろなことが成り立っているという形式なので、誰かひとりの活躍が無双っていうのに期待していると、それは肩すかしを食うかもです。でも、いろいろな物事の成り立ちって、もちろん超絶カリスマや超天才や超監督だけで成り立っているかと言うと、まあ、きっかけはあるにせよですね、必ずしもそれだけではないところがありますし、DNAと言ったらワトソンとクリックと…、となりますが、ロザリンド・フランクリンのこととかもありますので、こう視野を広く、多面的に物事を考えるようになるきっかけの本としては良いですよ。それから、装丁が綺麗なのも好きです。

特に本書のエピソードにおいては、ラボアジエのエピソードと、フロンガスのエピソードは科学の重要なある側面を正確に残酷に現しているので、とりわけ今読むのに、とても良いかと思われます。

大学生入学したての皆さまにおいては特に、高校の気体に関する化学の総ざらいみたいなところもあるし、科学や研究についても、ひとつ、よく考えるいい機会になると思います。

PV=nRT とか懐かしいですよね。そうでもないですかね…。

おまけです。このアルバムが好き過ぎるのです。

The Campfire Headphase (WARPCD123)

The Campfire Headphase (WARPCD123)

途中で触れましたが、このアルバム良いよね

というわけで、良い空気で、良い人生を。

*1: Joseph Kittinger で YouTube 検索するといろいろ出てきますよ