日本一うまい魚の食べ方 と 日本一うまい魚のごはん
- 作者: 生田與克
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
- 作者: 生田與克
- 出版社/メーカー: 中経出版
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
先に、上記をおすすめできないをあげると、礼儀や段取りが全てで定性的より定量的にものごとを捉えたい人、事件は会議室で起こっているし現場とかどうでもいい人、アバウトを好まない人にはおすすめができません。
なぜか、O'reilly で例えてみましょう
はてな民にとっては、きっとオライリーの動物本で例えると良いかと思うのですが、"...食べ方"の本の方が Learning SAKANA, そして、"...ごはん"の方が SAKANA CookBook だと捉えるとわかりやすいです。どちらも、生田さんの気取ってないぶっちゃけた愉快なコラムが満載で、そのなかにお魚トリビアが満載で、楽しく読んでいると、突然ずしんと考えさせられる事が登場します。その考えさせられる事、とくに魚食文化や失われると惜しい伝統については、それだけ抜き出すと説教臭くもなりそうな話題なんだけれど、自分自身がお魚や今の仕事が好きで、おいしいものを食べるのはいろいろと正しい事で、その信念はいやでも伝わってきます。魚河岸や市場って活気がないと寂しいとは私ですら思いますし。その信念がときに楽しく、ときにシリアスに思想そのものが伝わってくるのが"...食べ方"の方なんです。
そこで、どう作るかをもう少し掘り下げた方が "...ごはん" の方。こちらは本当にクックブックです。
ただ、それこそCookpad にあるような、レシピとかに比べると、良い意味で正しい意味で「いい加減」です。
うまく伝えられないので、ひとつだけ、カマスの塩焼きのところから引用すると...
- ウロコを取り、ハラワタを取ったら食べやすいようにつつ切りにする。
- 焼く直前に塩を振る。
- 火加減に注意して焼く。
- 皮もしっかり喰う。
- うまいっ!
- 日本一うまい魚のごはん―築地魚河岸の若旦那が教える P.80
と万事がこの勢い。負ける。これには負けるw
そもそもが、杓子定規でいい分量の調味料がわかるってほどには魚は個性がありすぎて、このわかってくる「いい加減」っていうのが大事なんだっていうのは、すごくわかります。
日本の某近代の産業とかたぶん同じように間違っていて、ちょっと伽藍とバザールなんかを思い出したりもします。もちろん、ドキュメントがきちんと作れるのは素敵な能力ですし、わかるやつにはわかる、わからないやつにはわからないはある程度真実ですが、わからないやつが本当にわからないかはちゃんとあってなかったり、やってなかったりなだけだと信じたいところも私にはあります。なあなあ...というのではなくて、理屈ではなくて体感でこそわかる人達とわかり合えるのはよいことで、魚河岸しかりで、実はネットの世界の一側面にはそんなところがあったりもします。
そんなわけで、気心の知れた人達とわいわいやって、おいしいものを食べたりするのは楽しいし、くだらん伝統は別にのこさなくてもいいけれど、ちょいとばかり魅力的なものごとは少し気を使って、楽しみを深く長く続けられるようと、ついつい思わされる生田さんの書籍なのでした。
ちなみに、実践は
魚をさばく―築地魚河岸直伝 (生活実用シリーズ NHKまる得マガジンMOOK)
- 作者: 生田與克
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/02
- メディア: ムック
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (25件) を見る
物語としては、
- 作者: 生田與克
- 出版社/メーカー: 学研教育出版
- 発売日: 2010/01
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (8件) を見る
も、あわせておすすめなのです。